さわや書店 おすすめ本

  • no.567
    2023/10/9UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    中村文則/講談社

    ― 幸福? 目の前の猿が問うようだった。 “何を言っているのだろうか。私は幸福ではない” 彼が私をずっと見ていた。 “私は吹雪のなか芽を食べているだけだ。私はただこのようにあるだけだ。君たちの尺度を私達に当てはめるな” ・・・・・・
    “別に幸福でなくてもいいだろうが” ― (本書より)

    今ほど、どうでもいい情報、知りたくもない情報がガンガン入ってくる時代もないだろう。人は自分の絶対的尺度ではなく、他者との相対的尺度でしかものを計れなくなった。つまり列の前か後か。そして、列は永遠に伸びてゆく・・・。