さわや書店 おすすめ本

  • no.170
    2017/8/28UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    分水嶺 笹本稜平/祥伝社文庫

    山、写真、オオカミ、笹本稜平。これで面白くないはずがない。小説の舞台、北海道大雪山系のトムラウシ周辺を学生時代に縦走した事がある。人の住む下界とは完全に別世界だと感じた思い出があるが、もう20年前になるのか…。野生動物の気配が濃厚に漂う領域に人が異物として入っているような感じが確かにした。観光地みたいになってしまった山も多い中で、人があまり入れない山は本来の自然そのものを感じさせてくれる。そんな山の感覚を思い出させる物語だった。
    ちなみにさわや書店の新しいブックカバーは、こういった山岳小説を読むにはベストなカバーだ。シンプル且つ重厚なデザインになっており、とても気に入っている。読書の秋、改めて宮澤賢治に取り組んでみようという方にもぜひお勧めしたい。さわやオリジナルの栞と共に、気分が高まる事間違いない。その色合い、質感、そして本と地域へのリスペクトを現物で確かめてほしい。