さわや書店 おすすめ本

  • no.77
    2016/10/18UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    九十歳。何がめでたい 佐藤愛子/小学館

    年齢がどうであれエッセイとして素晴らしく、ユーモアに溢れていて面白い。世の中に蔓延する身勝手な「正論」の応酬に、著者ならではの視点からツッコミを入れ、そのツッコミが鮮やかに短く本質を衝いているので痛快だ。時に乱暴な物言いだったりするが、歯切れのいい内容に大きく頷けるし、丁寧な言葉で下品な正論を吐く人間よりもよほど品の良さを感じさせる。長い時代を生き抜いてきた人生観から出る、問題を俯瞰で見るような答えには理屈ではない重みと説得力がある。今の時代に合おうが合うまいが、現代に対する著者の素朴な疑問にじっくりと耳を傾けておいて損はない。紹介するまでもなく売れている本だが、より広く読まれてもいいと思うので敢えておすすめする。