さわや書店 おすすめ本

  • no.250
    2018/6/26UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    世界史を大きく動かした植物 稲垣栄洋/PHPエディターズ・グループ

    農業は自然が豊かな場所よりも自然の貧しい場所で発達し、劇的な進化を遂げるという。植物自体も厳しい場所の方が、環境に適応するためにより強く独自に進化するそうだ。植物に心があるのかどうかは知らないが、じっと動かずにいながら長い時間をかけて進化を遂げている植物に、人間よりも深い洞察力を感じるというのは言い過ぎだろうか。
    人々は言葉を尽くして説明し、理性をもって行動しているはずなのに、その人間自身はどれだけ進化したのだろう。植物とそれを栽培する農業が、政治的に見てもいかに重要なのかも改めて思い知らされる。こうして眺めてみると、なるほど植物が世界を動かしていると言えなくもない。
    とにかく、本書に紹介されているコショウ・トウガラシ・ジャガイモ・トマト・タマネギ・トウモロコシなどの辿ってきた長い歴史に思いを馳せながら、今一度じっくりと味わってみたい。そして何よりも日本のコメと味噌汁は完璧だ。