さわや書店 おすすめ本

  • no.382
    2020/3/2UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    世界史の針が巻き戻るとき マルクス・ガブリエル/PHP新書

    「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である」二宮尊徳
    本書を読んでいて、上記の言葉を思い出した。「道徳」の部分を「哲学」にも置き換えてもいいと思う。
    「新しい実在論」を説く哲学者である、著者へのロングインタビューをまとめた本書。リアルとバーチャルの境界線があいまいになり、現実との接触機会があまりにも失われつつある現代において、明白な事実のみに重点を置く著者の哲学には説得力がある。
    すでにあらゆる分野で限界に達し、行き着く所まで行った感のある現代の病。自然科学もデジタルテクノロジーも、現実を直視して現在のあらゆる危機に立ち向かわなければならない。哲学はそのために必要なのだと思う。自らの人間性を守るために。