さわや書店 おすすめ本

  • no.413
    2020/8/29UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    世界のエリートはなぜ
    「美意識」を鍛えるのか? 山口周/光文社新書

    仕事に役立つ小説で何かお勧めの本をと尋ねられた事がある。考えすぎる傾向の私はその時、相手の仕事とその意図を慮ったあげくパっと言えずに、「むしろ仕事に全く関係のない、何気なく手に取ったような本の方が、意外とヒントが見つかるかもしれない」と答えた。苦しまぎれ半分、本当にそう思うのも半分に。
    本書では文学の重要性にも触れているので少し引用してみる。『古代ギリシアの時代以来、人間にとって、何が「真・善・美」なのか、ということを純粋に追求してきたのは、宗教および近世までの哲学でした。そして、文学というのは同じ問いを物語の体裁をとって考察してきたと考えることができます。』
    文学だけでなく、おそらくは映画、音楽、舞台、デザイン、美術などあらゆる芸術にも同じ事が言えるのだろう。予測困難な未来に対して重要な意思決定を迫られる時、ひとつの大きな指針にもなり得るものがそこには含まれている。即効性はなくとも、自分の中に確固たる「内なるモノサシ」を持つための何かが。