さわや書店 おすすめ本
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no.5452023/4/8UP
本店・総務部Aおすすめ!
一晩置いたカレーはなぜおいしいのか 稲垣栄洋/新潮文庫
たまに突然、なぜか無性にどうしても食べたくなる。辛さの主成分トウガラシは本来、鳥以外の動物に食べられないようにするための防御策として、辛さという毒を仕込んでいるのだそうだ。辛さは味覚ではなく痛み。ひーひー言いながら、人間は痛みを敢えて取り込んでいる。この痛みに対抗して排出させるために体は活性化し、脳内では疲労や痛みをやわらげるエンドルフィン(脳内モルヒネとも呼ばれる)まで分泌させる。どうりでたまに食べたくなる訳だ。マイナス面も意外なところで役に立つ、わからんもんですな。
カレー以外でも食べ物の意外な効用と植物の生存戦略が同時に学べて面白い。これから出てくる山菜も毎年必ず食べたくなる苦みなので、解明されていようがいまいが体にとって役に立っているのは間違いないだろう。辛さも苦さも子供には分かるまい。
巻末、印度カリー子の解説も流石。