さわや書店 おすすめ本
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no.5762024/1/6UP
本店・総務部Aおすすめ!
一億三千万人のための『歎異抄』 高橋源一郎/朝日新書
すっきりとわかりやすい「歎異抄」現代語訳。いや、「タンニショウ」高橋源一郎語訳と言うべきか。仏教関係はわかりにくいものが多いので、普通に読み物として読めて内容がはっきりと示されているのはありがたい。
浄土真宗の宗祖とされる親鸞だが、当時の仏教界においてはメインストリームではなく、異端とされ流罪に処されている。親鸞の没後、その考え方が間違った形で広まっているのを弟子が歎く書が「歎異抄」だ。有名な「善人なおもつて往生をとぐ。いはんや悪人をや」は、おそらく権威主義的なものに対抗したかったのだろうと想像する。学問もなく名もない、厳しい境遇にある人こそ救われるべきと考えたに違いない。多くの宗教は慈悲の心や愛などを謳いながら、一方で戦争までしてしまうという人間の大いなる矛盾。
午前十時の映画祭で『バベットの晩餐会』を観てきた。宗教も、音楽、料理、その他あらゆる芸術も、全ては同じ事を違う形で表現する、祈りに近い願いなのかもしれない。