さわや書店 おすすめ本

  • no.239
    2018/5/23UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    モチモチの木 斎藤隆介・滝平二郎/岩崎書店

    「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない。」とはレイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説の中の有名な一節。
    勇気を描くこの絵本は、「優しささえあれば、困難でも人はやるべきことをやる」という物語だ。
    児童書の中には大人でも往々にして直面する諸問題について、その本質を衝いているものがある。例えば『泣いた赤おに』では、何かを得れば必ず別な何かを失っているという事実。『アリとキリギリス』では価値観の違う生き方を、お互いに否定できるものではないという事実。人間の善悪の基本は子どもの頃の直感により、その後一生の大枠が決まってくるのではないだろうか。
    ともあれ本書は、内容もさる事ながら絵の色彩感覚も美しく、大人でも納得の一冊だと思う。