さわや書店 おすすめ本

  • no.111
    2017/1/5UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    メディアの支配者
    上下巻 中川一徳/講談社文庫

    本書は、ニッポン放送・産経新聞社・フジテレビを傘下に持つフジサンケイグループについて、徹底的に取材をし、その歴史を追った作品だ。ホリエモンによるニッポン放送の買収騒動は世間を賑わせたが、その根本的な問題も、まさに本書で描かれている部分と同根なのである。
    フジサンケイグループというのは、鹿内家という一家が牛耳っていたグループだった。しかしその状況を、当時フジテレビの社長であった日枝久がクーデターによって覆そうとする。実際にクーデターを成功させ、フジサンケイグループから鹿内家を追放することに成功した。
    そもそもクーデターはどうして起こったのか、鹿内家は一体なぜ巨大メディアを牛耳ることが出来たのか、ホリエモンが仕掛けた株取引はどうして起こったのか。それらは、フジサンケイグループという、異様な闇と複雑な経緯を持った特殊な企業の歴史にこそ原因があった。その闇を明らかにする一冊だ。