さわや書店 おすすめ本

  • no.274
    2018/9/17UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    ブレードランナーの未来世紀 町山智浩/新潮文庫

    いつも飲み屋で会う映画鑑賞上の師匠N氏に『ファントム・スレッド』を解説する著者の音声データを聴かせてもらったのをきっかけに本書を読んでみた。『ビデオドローム』『グレムリン』『ターミネーター』『未来世紀ブラジル』『プラトーン』『ブルーベルベット』『ロボコップ』そして、『ブレードランナー』が紹介されている。実際に監督へのインタビュー取材もして書いているのだか、語弊を恐れずに言ってしまえば、どの監督も完全に頭のイカレた変人であり、且つ全くもって天才だ。そしてそれを分析しようとする著者もまた同様である。
    興行的には成功しないと判っていながら、自身のこだわりと生き方全てをフィルムに焼き付ける。これを娯楽作品ではなく芸術と呼ぶのだろう。カルト・ムービーと言ってしまえばそれまでだが30年以上経って今なお語り継がれ、ファンを惹きつける映画とはまさに、芸術作品以外の何物でもない。『ブレードランナー』以降、新しい未来都市のイメージは生まれていないと書かれている。決して言い過ぎではないだろう。