さわや書店 おすすめ本

  • no.535
    2023/2/3UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    ファイト・クラブ チャック・パラニューク/ハヤカワ文庫

    まず、この原作を映画化したことがすごい。本書は内容が非常にダークで下品な描写にもかかわらず、「人が生きる意味」のようなものへのアンチテーゼとも感じられ、その表現方法や解釈は微妙だ。表面の印象だけに惑わされると本質を見失う。見事な原作、見事な映画化だと思う。デヴィッド・フィンチャー監督とブラッド・ピットのコンビでもう一つ思い出すのは『セブン』。そしてエドワード・ノートンで思い出すのが『アメリカン・ヒストリーX』。本書も含め上記映画はどれも知人には薦めることができない種類の、しかし紛うことなき名作だ。
    話は変わって先日、「モリコーネ 映画が恋した音楽家」を観に行った。帰ってすぐに『ニュー・シネマ・パラダイス』と『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』を頭から観直してみる。単なるBGMではなく、その音楽は完全に映画の内容を表現しているものだった。日本で言えばジブリや北野映画の久石譲氏、ルパン三世の大野雄二氏なども同様だろう。映画は総合芸術だと改めて感じる。
    作品の解釈についてひとり熟考するためには、やはり原点である原作を当たるのがいい。本書「ファイト・クラブ」もその一冊だ。
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