さわや書店 おすすめ本

  • no.151
    2017/6/6UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    ヒトゲノムを
    解読した男
    クレイグ・ベンター自伝 クレイグ・ベンター/化学同人

    クレイグ・ベンターは、世界で初めてヒトゲノムを解読した科学者として知られている。ヒトゲノムの解読競争は当時熾烈を極め、その聖杯を掴むことは科学者にとって栄誉なことだった。彼はその聖杯を掴んだが、しかしそこに至るまでの道のりは、数々の妨害と不運が度重なる、波乱万丈のものだった。
    EST法という、現在の遺伝子解析の主流となる手法を自ら開発しながら、当時は独創的な手法過ぎて誰にも認められなかったこと。所属する研究所との軋轢。そして、DNAの二重らせん構造の発見者の一人であり、科学界の重鎮であるジェームズ・ワトソンとの対立など、常に苦難の連続だった。自らの利益より、科学の進歩を常に最優先に考えていた一人の高潔な科学者の波乱の人生を自らの手で記した作品だ。