さわや書店 おすすめ本

  • no.492
    2022/1/21UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    ハウス・オブ・グッチ サラ・ゲイ・フォーデン/ハヤカワ文庫NF

    リドリー・スコット監督のこの映画を観に行く。159分と長尺だが飽きさせずに、観る者をハッとさせる映像と音楽、そして職人的な役者魂が随所に光っていた。
    まず、アダム・ドライバー。この雰囲気はなかなか出せるものではないだろう。『パターソン』での静かな空気感も見事だった。そしてアル・パチーノ。「ファミリービジネス」というセリフを口にするだけで圧倒的な存在感と説得力がある。ふと、一流ブランドでも『ゴッドファーザー』でも、似たような問題が崩壊へとつながっていると感じる。アル・パチーノは他に『カリートの道』『ヒート』『セント・オブ・ウーマン』などもいい。リドリー・スコット監督の中では、個人的にはコーマック・マッカーシーオリジナル脚本の『悪の法則』が痛みを伴いながらも心に深く突き刺さる。こちらは観る人を選ぶ作品なので要注意。
    映画の原作である本書は、より複雑な事実関係を忠実に取材したノンフィクションで、映画とは違うビジネス書的な面白さがある。映画の原作本は、特に翻訳の場合映画を観てから読むのがおすすめだ。すらすら読めてなおかつ時間の経過とともに理解がじっくりと深まっていく。