さわや書店 おすすめ本
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no.2062018/1/17UP
フェザン店・長江おすすめ!
ノーサイドじゃ終わらない 山下卓/幻冬舎
高校時代のラグビー部の勝治先輩が亡くなった。先輩の死は、ギャグみたいなもので、ニュースにも取り上げられるほど大きな事件だった。ヤクザの事務所にマシンガンを持ってぶっ放し、返り討ちに遭って死亡。勝治先輩らしいと言えばらしい。
15年振りに地元に戻った沢木は、久々にラグビー部の面々と再会した。変わっていないようで、やっぱりみんな、それなりに色々ある。
マネージャーだった翔子は、沢木たちと同期の牧瀬と付き合っていたのだけど、結婚寸前で牧瀬が結婚を撤回。翔子はようやく立ち直り掛けている。牧瀬は、勝治先輩の葬儀にも来なかった。
「アホなことして死んだよね、ホント」という、悼むというよりは勝治先輩のらしさを偲ぶようなのんびりとした雰囲気が一変したのは、勝治先輩の襲撃事件に共犯者がいたという報道を見た時からだ。
週刊誌記者時代の勘が、沢木をざわつかせる…。
どう読んでも爽やかとは言えない設定の物語なのに、読むとどうしてか、青春小説のような爽快感がある。それぞれの人生に、どうやって落とし所を見つけていくのか。その過程で生まれる必死さや優しさ楽しむ小説だ。