さわや書店 おすすめ本

  • no.188
    2017/10/31UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    デフレの正体
    経済は「人口の波」で動く 藻谷浩介/KADOKAWA

    本書は、「100年に1度の不況」と言われる現代日本で、実際は何が起きているのかを、一般にも公表されているデータから事実を拾い集めることで示し、さらにそれにどう対処していくべきなのか、という提言が載っている作品だ。
    著者のスタンスは一貫している。それは、「絶対数」が分かるデータを分析するということだ。「◯◯率」というような数字(出生率や有効求人倍率やGDPなど)は、何を何で割っているのかをきちんと把握しないと意味が取れないし、その意味をきちんと取らないままで議論をしている人が多いと言う。そういう「◯◯率」ではなく、基本的に「全数調査」されている「絶対数」の分かるデータで日本を分析しましょう、という本だ。
    そうしてみると、いかに世の中を「空気」で捉えているのかが見えてくる。
    そんな風にして日本の問題を明らかにしていった著者は、その原因の多くを「生産年齢人口の激減と高齢者の激増」に求める。これが本書の核となる主張だ。要は、「働く世代の人口が減ってるから今日本はこんな風になっちゃってるんだよ」ということだ。
    経済にはまるで詳しくない僕でも非常に面白く読める一冊だった。