さわや書店 おすすめ本

  • no.646
    2026/4/8UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    テヘランでロリータを読む アーザル・ナフィーシー/河出文庫

    イランの一般市民は自国の事、他国の事を今どう思っているのだろうか。宗教が政治や権力と複雑に絡み合い出口の見えない不確かな状況の中、犠牲となるのはいつも一般の市民だ。
    「テヘラン」と「ロリータ」という異質な組み合わせが興味深い。本書ではその他、「グレート・ギャツビー」「デイジー・ミラー」「高慢と偏見」などについて、イスラーム世界の中で語られる。文学は想像力の芸術だと思う。相手の一切を否定してしまうような単一的な想像力ではどうにもならない現実の問題を、文学の力で人間への理解に深めるべく、著者と女子学生による読書会の奮闘が綴られている。そしてそれは結局、自分自身の探求につながっていく。
    人間の善悪や陰影は見る角度、立場によって本当に大きく変わってくる。映画『セブン』では、犯人がもちろん悪人なのは間違いないとしても、登場人物で罪がないと言える人間が果たしてどのぐらいいるのか。ほぼ全員が大なり小なり悪の部分を持っている。その筆頭がブラッド・ピット演ずる刑事だろう。ラストの場面が仮に無かったとしても、最初のシーンからそこに至る最後まで全てのシーンにおいて、細かな伏線ともいうべき罪の演技が見事だ。
    それにしても「ロリータ」とは。再読する価値があるかもしれない。