さわや書店 おすすめ本

  • no.157
    2017/7/4UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    ソハの地下水道 ロバート・マーシャル/集英社

    戦時中、14ヶ月も地下水道に隠れ続けた、ユダヤ人たちの実話だ。
    1943年。ポーランドのルヴフという町に住むユダヤ人は、ドイツ軍により徹底的に残虐な扱いを受けていた。ホロコーストである。ドイツ軍の上官の気まぐれで人が殺されていく。理由もなく、意味もなく、順番もなく、ひたすら殺戮が繰り広げられる日々。ユダヤ人たちは、自らの持てるものと知力を振り絞ってどうにか自分の身を、そして自分の家族を守ろうと努力したが、しかしそれは微々たる影響しか与えなかった。
    ユダヤ人たちは、地下水道に潜伏する計画を立て、慎重に実行に移した。しかし予期せぬ出来事が次々と起こる。まず、下水道の管理人をしているポーランド人のソハに見つかってしまう。ソハは地下水道にいるユダヤ人のことを密告すれば大金を手にできる立場だ。しかし彼らはソハを信用するしかない。さらに不測の事態により、当初の計画より遥かに多い人数で地下水道に潜伏することになり…。
    人間の恐ろしさ、そして歴史が持つ力をまざまざと見せつけられる作品だ。