さわや書店 おすすめ本

  • no.08
    2016/7/7UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    セーラー服の歌人鳥居
    拾った新聞で
    字を覚えた
    ホームレス少女の物語 岩岡千景/KADOKAWA

    鳥居、というペンネームで活動する歌人がいる。既に成人しているが、今でもセーラー服を着て活動をしている。小中学校での勉強をやり直す場を確保したい、という気持ちからだ。
    鳥居は、シングルマザーだった母が衰弱し死んでいくのを眺め、預けられた児童養護施設で壮絶ないじめを経験し、不登校のまま中学を卒業し、現在PTSDと診断され就業出来ないでいる。拾った新聞で字を覚え、未だに「10%オフ」の意味が理解できない彼女は、短歌と出会ったことで人生が変わった。
    お金もなく、創作に恐怖を感じ続けている鳥居が、それでも短歌を作り続けるのは、芸術を支えにしか生きられない自分のような人がいることを知っているからだ。「ずっと、絶望する人の側にいたい」と決意する鳥居の、壮絶な人生の物語。生きる勇気をもらえます。