さわや書店 おすすめ本

  • no.277
    2018/10/2UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか 池谷孝司/幻冬舎

    本書を読んで、一番衝撃的だった事実がこれだ。
    『教師の仕事は好きでした。でも、根本的なところで間違っていました。自分が権力を持っているなんて考えもしませんでした』
    問題行動を起こす教師の多くが、「自分に権力などない」と思っていた、と言うのだ。
    これには本当に驚かされた。教師が生徒に対して権力を持っているということなど、当然だろう。その認識を持てない、という時点で、教師としては失格ではないだろうか。しかし、その認識を持っていないという前提に立てば、問題行動を起こす教師の行動原理の一部は説明がつく。なるほど、彼らの理屈ではそうなっているのか、と感じさせられる。
    本書では、学校におけるセクハラの問題を取材し続ける著者が、その現状や解決策、問題行動を起こす教師への聞き取りなどをまとめた作品だ。学生が自分の身を守るために、親が子供を守るために本書は読んでおくべきだろう。そして何よりも、自分が問題教師にならないように、そして問題教師を止める教師でいるために、教師として教鞭をとっている人たちに、是非本書を読んでほしいと思う。