さわや書店 おすすめ本
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no.6552026/8/8UP
本店・総務部Aおすすめ!
ジジイの台所 沢野ひとし/集英社文庫
最近は経験よりも理屈を過大に評価する傾向があると思う。何でもAIにやってもらうようになると、ますますその流れは強く揺るぎのない“正解”になってゆく。だけど、人間だから理屈通りに行かないこともある。理屈では確かにそうなんだけれども実際やってみると、どうもこうした方がいいようだという“実体験”を侮るなかれ。経験と時間という試練に耐えたものだけがスタイルとして確立した理論。理論というよりむしろ“道”に近い。本書「ジジイの台所」には茶道・華道にも似た生き方の美学がある。
例えば酒の飲み方なんかは、AIに聞けば模範解答が返ってくるだろうが、やっぱり年季の入った人の呑み方はつまみも含めて無駄がなく、それに何とも言えずかっこいい。量の問題ではなくスタイルに差が出てくる。今の高齢者は何かと悪者扱いされることが多いが、ちょっと時代の風向きが変われば、どんな老人であれもっと話を聞いておけば良かったという時が来るかもしれない。
