さわや書店 おすすめ本

  • no.97
    2016/12/6UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    飛び立つ
    スキマの設計学 椿昇/産学社

    著者は、長く高校の美術教師を勤めた後、アートの世界で様々な活動を続ける芸術家だ。高校教師だった頃の経験や、あるいは様々な場所でワークショップを設計したり、様々なプロジェクトに関わったりする中で見えてきたものを雑多に取り込みながら、「変人」をいか育てるかという提言を本書の中に散りばめる。
    芸術活動を通じて子どもたちの「教育」にコミットする著者は、「場」や「環境」がどのように教育に影響を与えるのかという様々な実例を挙げ、さらに自身の経験を踏まえながら、日本の教育現場の欠陥を指摘していく。
    『教育現場のストレスが多様な生き方を選択する可能性を閉ざし、クリエイティブな人間がどんどん世の中から消え、人々の対話がネガティブになり、誰もがアイデアを提案することの愉しさを忘れるような社会になってゆく未来を見たくはなかった。』
    だから本書を書いたという著者。「教育」とは何であるのかを深く考えさせる異端の書である。