さわや書店 おすすめ本

  • no.571
    2023/11/30UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    サピエンス全史 ユヴァル・ノア・ハラリ/河出文庫

    最初の方は映画『2001年宇宙の旅』を思い出した。ホモ・サピエンス以前の状況からわけの分からないラストの描写まで、1968年に公開されたこの映画はかなり近いところを表現していると今改めて思う。本書を読むと、未来の描写なんて現代人に分かるわけがないことを思い知らされる。何万年という巨視的な目で人類の変遷を思うと、この先何が起きてもおかしくはないし、最悪の未来も最善の未来も起こり得る。ただ、自分自身も含め人類の性質を考えるにつけ、あまり明るい未来を想像するのは難しい。
    本書のテーマでもある「私たちは、何を望みたいのか?」という問いは深遠だ。今までだって、人類は自分達の快適のために進化し続けてきたはずだ。それなのに不満はどんどん増殖し、交通事故死よりも自殺者の方が数倍多いのはなぜなのか。
    本書では宗教とイデオロギーについても触れているが、日本の神道や仏教は宗教というよりも哲学に近い。これに関してはこの国に生まれた事を有り難く思う。