さわや書店 おすすめ本
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no.1042016/12/19UP
フェザン店・長江おすすめ!
ゴースト≠ノイズ
(リダクション) 十市社/創元推理文庫一年A組の教室で、僕は存在しないものとして扱われている。入学してからひと月。僕は見事に、クラス全員から存在を感知されない人間になった。席替えで僕の席は変わらないが、周囲の人間は変わる。僕の目の前の席になった真っすぐの黒髪の少女は、玖波高町というようだ。何故かは分からないが、クラスの視線を集めているように思える。
その高町が僕に話しかけてきた。誰からも存在を認められていない僕に。声を掛けられた僕は、喜びが溢れ出るのを抑えることが出来なかった。高町は、近づいてきた文化祭の準備と称して、ぼくを放課後の図書室に連れだした。
その日以来僕は、学校に行くのが楽しみになった。
よくある学園小説だと思ったら大間違いだ。これは家族の物語である。一緒に住むだけでは家族になれないという、どうにもしようがない現実を切なく切り取った傑作だ。
著者自身によって電子書籍として発売され、あまりの人気から書籍化に至った作品である。