さわや書店 おすすめ本

  • no.67
    2016/9/13UP

    本店・竹内おすすめ!

    グッドバイ・ママ 柳美里著/河出文庫

    父親が単身赴任で母親が5歳の息子と二人暮らし。その母の思考が常軌を逸している。序盤から母の狂気全開。雑踏の音や文字、人々の会話が挟まれた描写に、母親と社会の隔別感が増す。最初のうちは、精神を病んでるかのような言動に辟易し、途中で放り投げたくなるが、その感覚は徐々に麻痺してくる。全ては息子への歪んだ愛情の形。読み進めるうちに正常と異常の区別が混沌としてくる。歪んでるのはどっちだ?様々な事象に鈍感でなければ生きにくい現代社会、そこに生きるいわゆる「常識的な人々」のほうが歪んでるのではないのか?ラストにどうしようもなくやるせない感情が胸に去来する、読むと危険!な小説だ。