さわや書店 おすすめ本

  • no.398
    2020/5/14UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    クランクイン 相場英雄/双葉文庫

    映画『新幹線大爆破』に始まり、終盤には『パリ,テキサス』まで絡んでくる。洒落たラストも印象的な、映画ファンにはたまらない一冊だ。
    本書では冒頭で『新幹線大爆破』と『スピード』について語られる。関係ないが『新幹線大爆破』はラストシーンに『ヒート』との類似性もあり、そして『ヒート』は『ダークナイト』にも影響を与え、『ダークナイト』は昨年公開の『ジョーカー』にもつながる。
    映画に関わる全ての人は、相互に影響を与え合いながらその力を結集させる。そしてプロとしての金銭的な面もしっかり折り合いをつけてはじめて奇跡のような一本が撮れるかどうかだ。本書には現代の映画事情や制作にかかる費用もリアルに描かれている。この労力や費用を考えれば映画料金というのは安すぎると言えなくもない。
    何でも安くて便利な方がいいという選択をし続けていると知らず知らずのうちに、より大事なものを失っている可能性がある。今のコロナ騒ぎでも、もしかするともっと意外な所にまで影響が出てくるのかもしれない。ウイルスと戦う中でも本当に大切なものだけは、少なくとも見失わないようにしていたい。