さわや書店 おすすめ本
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no.4502021/2/19UP
本店・総務部Aおすすめ!
キャッチ=22 ジョーゼフ・ヘラー/ハヤカワepi文庫
全くもって、わけがわからない。ストーリーを追えていない不安から、何度も読むのをやめようかとも思ったが、なぜか妙に心に引っかかる。これはブラック・ユーモアの形をとりながらも、人間社会の本質的なメタファーなのではないかと。
有名な作品ではあるものの、万人受けする本ではないだろう。本書は皮肉なパラドックスやジレンマ、不条理などを時間軸のずれとともに繰り返す。そしてラストに来てようやく一定の爽快感を得ることができる物語だ。ただ、このラストに主題があるのではなく、あくまでもそこに至るまでのわけのわからなさの方にこそ、本書の主題があるように思う。
映画で言えば、『マルホランド・ドライブ』『ファイトクラブ』『TAKESHIS′』『インセプション』『パルプ・フィクション』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』『ジョーカー』などを観た時の感覚に近い。よくわからないけど無駄に熱く、そして強烈に魅力的だ。本書も作品に込められた熱量と、読者を突き放すような文学的意志の強さを感じさせる。