さわや書店 おすすめ本

  • no.212
    2018/2/13UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    カイシャデイズ 山本幸久/文春文庫

    舞台は、ココスペースという社名の、店舗や商業施設のリニューアル工事を請け負う会社だ。
    協調性がなく無愛想で、酒を飲めば皆悪口を言うが、しかし周りから好かれている営業チーフの高柳憲一。プランは常に斬新で、低予算でもアイデアでうまく切り抜ける才覚を持っている、天才肌のデザイナーの隈元歳蔵。次期社長とも言われ、現在売上の20パーセントを占めている営業リーダーである江沢六輔。ケーオー卒のおぼっちゃんであり、親に反発するようにして小規模な会社に就職した高柳の部下の一人の橋本陽七。同じく高柳の部下である石渡信吾も営業マンとして苦労している。会社の裏権力者のような立ち位置の統括室室長の大屋時枝。そして成り行きで社長になってしまった巨瀬司郎。こんな人、確かに会社にいそうだなと思わせるリアルさと、人物としての魅力を同時に醸し出し、働くことの大変さと楽しさを同時に描き出す作品だ。