さわや書店 おすすめ本

  • no.98
    2016/12/6UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    ウルトラマンが泣いている
    円谷プロの失敗 円谷英明/講談社新書

    本書のメインとなるのは、天才クリエイター・円谷英二の死後のことだ。何故、「我々円谷一族の末裔は、現存する円谷プロとは、役員はおろか、資本(株式)も含め、いっさいの関わりを断たれています」という状況に陥ってしまったのか。それを、孫であり、六代目社長として円谷プロをどうにかまともな方向に舵取りしようと試行錯誤しようとした著者が描く。
    本書を読む限り、円谷プロは「ムチャクチャだ」としか言いようがない。よくもまあこんなムチャクチャな経営(と呼んでいいのか…)で、今日までどうにかやれてこられたな、と思わされる。
    キャラクタービジネスを確立した円谷プロにどうして常時金がなかったのか。平成に至るまでの16年間、何故国内でウルトラシリーズの新作が放送されなかったのか。キャラクターや舞台設定などのウルトラマンのコンセプトは何故ころころと変わったのか。それらの謎を、円谷プロの放漫な経営体質から明らかにする一冊だ。