さわや書店 おすすめ本

  • no.496
    2022/3/17UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    アンナ・カレーニナ レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ/新潮文庫

    “幸福な家庭はすべて互いに似かよったものであり、不幸な家庭はどこもその不幸のおもむきが異なっているものである。”
    いきなり考えさせられる一文から始まる本書は、人間の幸・不幸とは何か、哲学とは、宗教とは、社会とは何なのかを読者に深く問いかける、一生に一度は読むべき本のひとつだろう。上・中・下3冊のボリュームがあるため躊躇してしまうかもしれないが、決して難しい話ではないので、ふと思い出した時にでも軽く読み始めてほしい。基本的には二組の夫婦の物語である。それぞれの思考と結末を追ううちに鮮やかなコントラストが生まれ、答えは示されなくとも、対比の中から生きる意味を浮き立たせる。
    午前十時の映画祭『ファーゴ』の解説で、町山智浩氏が本書との関連性を指摘していたので読んでみた。それにしても、ロシア…。こんなに素晴らしい文化・芸術方面もあるのに。