さわや書店 おすすめ本

  • no.128
    2017/2/28UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    わかりあえないことから 平田オリザ/講談社現代新書

    本書は、「コミュニケーション」をテーマとして、広い分野についての主張や提言がなされる作品だ。『コミュニケーション教育に直接携わる者として、そこに感じる違和感を中心に書き進めてきた』というように、著者は、劇作家であると共に、教育現場において「演劇をベースにしたコミュニケーション教育」を行っている。そんな著者が様々な実例や社会分析を元に、「コミュニケーション能力の欠如の問題の本質」を探り当て、そこに解決策を見出そうとする。
    本書を読むと、コミュニケーションの問題は個人の問題ではないのだ、ということが分かるだろう。子どもを取り巻く数々の環境の変化、それらが密接に結びついて、「コミュニケーション能力」が育ちにくい状況にある。だからこそ積極的に「コミュニケーション教育」を行っていくべきなのではないか、と提言していく。目からウロコの一冊だった。