さわや書店 おすすめ本
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no.5552023/7/1UP
本店・総務部Aおすすめ!
ひとり旅は楽し 池内紀/中公新書
ひとり旅は人間の総合力が試される。別にきっちりと予定通りに行けばいいというものでもないし、どこを回ればいいというものでもない。数人の旅行でさえ、なんとなく人任せにしてしまうところを細部まで自分ひとりで対処する。トラブルがあってもなお、それ自体を楽しめれば、旅は成功と言えるのだろう。雨が降っても槍が降っても自己責任。ただ、旅先では感覚が研ぎ澄まされ、多少の緊張感もあって日常よりもむしろ危険は少ないと著者は言う。
ひとりで旅に出るのも旅先でひとり酒を飲むのも、ちょっとした緊張感と共にそれ自体を味わえれば、大人としての総合力は充分に備わっていると思う。「はじめてのおつかい」というテレビ番組や絵本もあるが、あの頃からひとり旅は始まり、人生の後半になってやっと完成されるものかもしれない。