さわや書店 おすすめ本

  • no.137
    2017/3/28UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    でっちあげ
    福岡「殺人教師」事件の真相 福田ますみ/新潮文庫

    本書は、2003年に福岡で起こったとある事件を追ったノンフィクションだ。
    2003年のある日、朝日新聞の西部本社版に、「小4の母『曾祖父は米国人』教諭、直後からいじめ」という大きな見出しが載る。そのショッキングなニュースに地元のメディアは湧くも、あくまでもそれはローカルニュースの一つだった。
    しかし、週刊文春が、「『死に方教えたろうか』と教え子を恫喝した史上最悪の『殺人教師』」という記事を載せたために一気に全国区のニュースになった。
    両親からの指摘を受けた学校は教師による暴行の事実を認め、福岡市教育委員会もいじめと虐待を認定、全国初の「教師によるいじめ」と認定された。
    しかし「史上最悪の殺人教師」とまで呼ばれたこの教師、実はいじめに当たるようなことは一切していなかったという。それなのに何故このような事態になってしまったのか。学校やマスコミの体質が生んだこの異様な展開を、様々な関係者への取材を通じて解きほぐしていく一冊。