さわや書店 おすすめ本

  • no.359
    2019/10/21UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    それでも、日本人は「戦争」を選んだ 加藤陽子/新潮文庫

    過去の戦争の歴史と、現在の世界を取り巻く諸問題とが繋がっている事を感じさせる良書。特に日本の周辺国との地理的な位置関係は、安全保障上のリスクを具体的に考えさせられる。今の上海や台湾の問題、北朝鮮、日韓関係、北方領土問題、さらにEU、中東問題も含め、そこには中国・ロシア・アメリカなど大国の思惑が絡み合う。世界で今も起きている争いのほとんどは自国の歴史と共に、結局は大国の代理戦争と見るべきだろう。
    人間と暴力を描いた『ヒストリー・オブ・バイオレンス』という映画がある。直接戦争とは関係ないこの映画に関するあるインタビューの中で、監督はこんなことを言っている。
    ――人類が戦争のない世界を実現するのは不可能だろう。でもそんな世界を人類は想像する。不可能なことを夢見るのも、人類だけが持つ能力だ。だから、決してあきらめてはいけないんだ。――(デイヴィッド・クローネンバーグ)