さわや書店 おすすめ本

  • no.383
    2020/3/7UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    そばと私 季刊「新そば」編/文春文庫

    年齢的には充分にいい大人なのだが、幼い頃になんとなく感じた大人の印象には程遠い気がする。例えばそれは酒の飲み方。酒に飲まれるタイプはいつの時代でもしょうがないが、酒を格好良く飲める大人は特別何もしなくても様子がいい。
    そば屋での酒がその最たるものだろう。やれ高級店に行くの寿司屋に行くのバーに行くのではなく、ごくありふれたそば屋なんかで粋に呑める大人には別の憧れを感じる。変にうんちくを語るでもなく、有名店に並んだりもしない。簡単なつまみでさりげなく、そして美味そうに酒を呑み、あまりだらだらせずにそばを啜ってぱっと席を立つ。そんな理想的な格好のいい大人は、もはや幻想なのかもしれない。
    本書には古き良き大人のエッセイ67人分のこだわりが詰まっている。空気感や匂いまでもが充分に伝わり、異常にそばが食べたくなる。ああ、平日の昼下がり、天ぷらかなんかで酒をやりつつ、冷たいそばで締めたいなあ。所詮あまり格好良くはできないけれども。
    本店入ってすぐの左隅、酒と食のコーナーは店長の趣味でもあると思われる。