さわや書店 おすすめ本

  • no.198
    2017/12/13UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    おもかげ 浅田次郎/毎日新聞社

    表紙が美しい。本書は一人の定年を迎えた男を中心にした、その周辺の人々による群像劇である。人は誰でも意識の底に、誰かのおもかげを抱えながら生きている。普段は忘れている遠い記憶に想いを馳せるような、そんな物語だ。最後の方は温かい涙を誘う安定の浅田次郎節。なにかと慌ただしい師走だが、ふと過去をふり返ったりもするこの時期に、ぴったりの一冊だと思う。
    古い名作映画『市民ケーン』を思い出した。