さわや書店 おすすめ本

  • no.385
    2020/3/19UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    いまひとたびの 志水辰夫/新潮文庫

    心の奥に深く刺さる、沈黙。低く、響き続ける静寂の余韻。
    短編一つひとつの終わりに訪れる、言葉にならずに消え入る吐息のような、取り残されたような圧巻の空白が全てを雄弁に物語る。
    ジャンルを問わず著者にしか出せない空気が、間違いなくそこにある。いつ読んでも何度読んでも、ああこれだと思う。深いため息と共に只々茫然として、見事と言う他はない。
    この感覚はもう、志水辰夫というひとつのジャンルなのだ。