さわや書店 おすすめ本
本当は、目的がなくても定期的に店内をぶらぶらし、
興味のある本もない本も均等に眺めながら歩く事を一番お勧めします。
お客様が本を通して、大切な一瞬に出会えますように。
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no.4342020/12/7UP
外商部・栗澤おすすめ!
70歳の新人施設長が見た介護施設で本当にあったとても素敵な話 川村隆枝/アスコム
――「いわて関連本」今年のおすすめ――
縁あって滝沢市にある介護施設の施設長になった盛岡市在住の著者。
自宅での亡夫の介護経験に加え、介護施設現場での心温まるエピソード、さらに医師としての介護に関する知見など、読みどころ満載のエッセイ集です。 -
no.4332020/12/7UP
外商部・栗澤おすすめ!
南部鉄器のある暮らし 釜定の仕事 釜定・書籍プロジェクト実行委員会/青幻舎
――「いわて関連本」今年のおすすめ――
盛岡市紺屋町にある工房・釜定の魅力が詰まった贅沢な一冊。
シンプルでモダンな商品の美しい写真とともに、釜定の歴史も知ることが出来ます。
工房を覗く勇気がないという方も、まずは本書を手にとってみてはいかがでしょう。 -
no.4322020/12/7UP
外商部・栗澤おすすめ!
法廷遊戯 五十嵐律人/講談社
――「いわて関連本」今年のおすすめ――
ロースクール同期の三人の男女が繰り広げるリーガルサスペンス。
岩手出身で司法試験に合格している著者ならではの展開に一気読み間違いなし。
優れたエンターテイメント作品に贈られる、第62回メフィスト賞受賞作です。 -
no.4312020/11/26UP
本店・佐藤おすすめ!
もみのき そのみを かざりなさい 五味太郎/アノニマ・スタジオ
――X’mas・冬に 心あたたまる絵本を――
1981年に刊行された名作が、待望の復刊。見開き左側はくすんだ群青色、左側はポストカードサイズの色彩豊かな絵に詩的な言葉、という構成です。始めから終わりまで厳かな雰囲気に包まれます。 -
no.4302020/11/26UP
本店・佐藤おすすめ!
サンタクロースっているの? 絵・訳:いもとようこ 文:フランシス・P・チャーチ(ニューヨーク・サン社説)/金の星社
――X’mas・冬に 心あたたまる絵本を――
8歳の女の子の「サンタクロースはいるのか?」という質問に、新聞記者が深い洞察で愛情たっぷりに答えた、ニューヨークの実話です。いもとさんのやさしい訳で、日本人の私たちの心に再び愛と思いやりの火が灯ります。 -
no.4292020/11/26UP
本店・佐藤おすすめ!
かげぼうし 安野光雅/冨山房
――X’mas・冬に 心あたたまる絵本を――
テーマは光と影。繊細で美しい絵。見開き左側は、マッチ売りの少女がさまよう街、右側はかげぼうしたちが集まり過ごす世界、とそれぞれのストーリーが進みます。後半、2つの世界がひとつになる流れが、とても楽しいです。 -
no.4282020/11/12UP
本店・総務部Aおすすめ!
ゴースト 中島京子/朝日文庫
魂は、何処へ。
怖さも派手さも無い。読後、一人静かに想う、こちら側とあちら側。第五話「キャンプ」が好みだ。物語の輪郭が見えたところで終わり、余白で切実に胸に迫る。
心にじんわり来る短編7つ。 -
no.4272020/11/5UP
本店・総務部Aおすすめ!
女ともだち 早川義夫/筑摩書房
亡くなった妻に捧ぐ鎮魂歌。著者の曲はほとんど知らないが、カバーされた『サルビアの花』には聴き覚えがある。
音楽でも絵でも映画でも文学でも、無から何かを生み出す作家という人は凄いところで生きているのだと思う。自分をさらけ出し、飾らずに自分自身の中から溢れ出たものを表現する、格好つけないところにある格好良さ。どこからか借りてきたようなもので人は感動しない。著者はその繊細で真っ直ぐな感覚と共に、まさに身を削りながら創作活動をしているように感じた。そして本書を捧げる奥さんとの思い出には、当たり前と思っている今の日常でも、決して当たり前ではないという事に気付かされる。
かけがえのないもの。本当の意味ではそれは無くなってからしか見えないものかもしれないけれど、少なくとも今をもっと大切にしたい。たまにこういう本を読むと痛切にそう思う。 -
no.4262020/10/17UP
本店・総務部Aおすすめ!
悪の愉しみ 現代マンガ選集 山田英生/ちくま文庫
映画には映画の、音楽には音楽の、小説には小説の、絵画には絵画の、それでしか表現できない世界があるように、マンガでしか味わえない世界がここにある。
大人向けの、きたなくて美しい味わい深さ。
『珈琲時間』より「Hate to See You Go」(豊田徹也)が収録されている。この短いマンガの、語られていない“間”が好きだ。 -
no.4252020/10/12UP
本店・総務部Aおすすめ!
お腹召しませ 浅田次郎/中公文庫
著者の時代小説は現代とのつながりを意識させるものが多い。決して今とは関係のない大昔の物語ではなく、ほんの2~3代前にはまだ記憶に新しい話なんだよというあたりのリアリティが、DNAに直接訴えかけるというか、胸を熱くさせる。
本書も幕末から明治にかけてのお話6篇。ユーモアも交えながら落語のように読めて最後はほろりとさせられる、著者一流の歴史観と人情話だ。変化の激しい時代にあって、変えるものと変えてはならないものを改めて考えさせられる。著者の物語は、物事の価値観が揺らいでしまった時に本質に立ち返り、一本筋の通った時代小説で背筋を伸ばしてくれるような思いがする。ラストの「御鷹狩」は見事だ。