郷土のおはなし・おすすめスポット

郷土のおはなし・
おすすめスポット

  • ー郷土のおはなしー

    no.30
    2016/8/10UP

    フェザン店・田口おすすめ!

    荒ぶる魂 空気投・三船久蔵十段

    嶋津義忠著
    PHP文芸文庫

    身長159センチ、体重56キロ。それでも、己より大きな体の男たちを投げ飛ばし百戦百勝。幻の技「空気投」を編み出したことで知られる岩手県久慈市出身の柔道家・三船久蔵。本書は、「柔道の神様」とよばれた男三船久蔵の、波乱に満ちた生涯を描いた長編小説だ。柔道は、日本の風土の中で日本人が生み出したものである。礼の精神、耐え忍ぶ強さ、相手を思いやる心。自分だけではなく他人と共に栄える世とするために生まれた理念「自他共栄」。相手を敬い、感謝し合うことで生まれる信頼。そこから助け合いの心が育まれてゆく。それが柔らの道なのだ。
    美しく強く。倒すことより、倒されないことに重きを置いた柔道家の破天荒な人生は、理論よりも、まず実践から学ぶことの大切さを教えてくれた。オリンピックで日本代表選手の活躍を祈りながら本書を読み返したい。