さわや書店 おすすめ本
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no.622016/9/6UP
フェザン店・長江おすすめ!
自殺 末井昭/朝日出版社
「死」についてフランクに話せるような雰囲気は、世の中にはあまりない。「死」とは「悲しい」ものであり「避けられるべき」ものであり、だからこそ普段の会話の中で「死」というのは積極的に話題にのぼることはない。
しかし、そういう雰囲気こそが、どうしようもなく「死にたい」と思ってしまう人を追い詰める結果になっているのではないか。僕はそう感じることがある。
著者は本書を「笑える自殺の本にしよう」と思って書いたと言う。著者自身には自殺願望はないが、ダイナマイト心中をした母親を持ち、以降も人生の中で様々な形で自殺と関わってきた著者は、「自殺は悪いことだと思っていない」と書く。この社会を、「まじめで優しい人が生きづらい世の中」だと捉え、死にたくなることはある意味当然だと言い、そしてその上で「どうか死なないでください」と書く著者の優しさに溢れた一冊だ。