さわや書店 おすすめ本

  • no.60
    2016/8/30UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    家康、江戸を建てる 門井慶喜/祥伝社

    ブラタモリのように古地図を片手に、地形から江戸の痕跡を辿ってみたくなるリアル歴史時代小説だ。家康から始まった江戸が、現在の世界屈指の巨大都市東京まで繋がっているという感じがするのがなんとなくうれしい。家康や時代小説にあまり興味がないという人でも、広大な湿地帯だった平野をどうやって都市化していったのかというのが主題なので、誰が読んでも面白く読めると思う。形に残っているものだけでなく、職人の「技」とか「粋」という下町特有の感覚なども、もしかしたら江戸建設時に日本中から集まった腕利きの職人たちによる美学の結晶が、現代人の遺伝子にもどこかに響いているのかもしれない。