さわや書店 おすすめ本

  • no.56
    2016/8/30UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    ヤノマミ 国分拓/新潮文庫

    ヤノマミ族とは、現在もアマゾンの奥地で原初の生活を続けている少数民族だ。1万年以上も、同じ生活を営々と続けてきた。本書は、NHKのディレクターとしてヤノマミ族の集落に計150日に渡って同居し続けた著者が描くノンフィクションだ。
    著者が同居することになったワトキリという集落が文明社会と初めて接触したのは1970年代になってのことだ。彼らは、文明社会との接触が少数民族を駆逐していった歴史を知っている。それでも彼らは、著者らを集落に受け入れた。
    様々な儀式や伝統が、彼らの生活を合理的に成立させるために最適化されている。それは、僕らの常識からすれば信じられないものばかりに映る。文明社会の論理からはみ出す様々な価値観が、人間として生きること、人間として死ぬことについて、様々な示唆を与えてくれる。