さわや書店 おすすめ本

  • no.654
    2026/7/2UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    壜の中の手記 ジェラルド・カーシュ/創元推理文庫

    なんかいいなあ。どこか大真面目に書かれた大人向けの童話のような。あり得ないのに妙にリアリティがあり、話に意味が無さそうで有りそうなところもまた引き込まれる。幼い頃テレビで「まんが日本昔ばなし」にたまに出てくる怖い話を見た時のような、小学校の図書館で江戸川乱歩を読んだ時のような、あるいは、「世にも奇妙な物語」の初期の頃、見事なオチに興奮した時のような、薄暗い懐かしさと味わい深さが籠っている。恐ろしさの中にどこか教訓めいたものを読み取ろうとすれば、そう読めなくもないぐらいの感覚が丁度いい。12話の短編の中で好みはいろいろあるだろうが、個人的には表題作の他「凍れる美女」「破滅の種子」あたりが短いながらも心に残る。