さわや書店 おすすめ本

  • no.603
    2024/11/19UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    午後三時にビールを 中央公論新社

    なんとなく慌しくて、それでも酒を飲む機会の増える年末。みんなでワイワイ飲むのも楽しいが、ひとり静かに酩酊するのもまた師走がいいかもしれない。
    文豪26名による酒場作品のアンソロジー。
    酒に酔うだけでなく場所や人の空気感、耳にした言葉、心に浮かぶ風景などがなんとも言えず味わい深い。著者の名前を見ればあたりまえなんだけれども、そもそもの文章が巧すぎる。萩原朔太郎、太宰治、坂口安吾、久世光彦、池波正太郎、吉村昭、向田邦子、中上健次、島田雅彦、野坂昭如…などなど。昭和の大作家はやっぱり凄い。それと同時に時代への郷愁というか羨望を覚える。豊かさとは何なのか。
    忙しい師走に、敢えてじっくりと酒を呑みつつ本を読み、今の時代ともじっくり向き合うのはどうだろう。