さわや書店 おすすめ本
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no.5462023/4/12UP
本店・総務部Aおすすめ!
モンテレッジォ
小さな村の旅する本屋の物語 内田洋子/文春文庫イタリア在住の著者。書店のルーツを探る旅はノンフィクションとして面白く、また美しい写真と共に紀行文として眺めるだけでも味わい深い一冊になっている。
どんな所にもその土地の風土や歴史があり、蓄積されてきた雰囲気は場所や人にどことなく表れる。読んでいて思うのは、現地の空気を吸ってみたいということ。本書を読む事は異国の文化に思いを馳せ、「本」というものの原点を想う旅になる。是非とも紙の質感や写真の趣、インクの匂いなども味わいながらゆっくりとページをめくってほしい。
テクノロジーは良くも悪くも進化を続け、後退する事は絶対にない。ただ、リアルの重要性もまた、今後増してくるだろうと思う。劇場やスポーツ競技場、コンサートホール、映画館、博物館、美術館。それらは単に映像を見たり音を聴いたりするためだけの空間ではない。あるいは自然に触れる事も、その道中も含め言葉では説明しきれないほどの価値がある。本屋とは何か。改めて考えさせられ、背筋の伸びる思いがする。