さわや書店 おすすめ本
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no.5412023/3/20UP
本店・総務部Aおすすめ!
幸せなひとりぼっち フレドリック・バックマン/ハヤカワ文庫NV
先日、映画『オットーという男』を観に行った。これは本書「幸せなひとりぼっち」がスウェーデンで映画化され、それをハリウッド版にリメイクしたものである。映画のオリジナル版は観てはいないがこの原作だ、面白くない訳がない。
映画は十分に楽しめたものの、原作は更に奥深く面白いので是非とも読んでみてほしい。映画では主人公の哀しみによる頑固さが強調されていたが、原作では主人公夫妻それぞれの父親との関係性も示されていて、筋金入りの愛すべき頑固おやじということがよくわかる。近くにいたらかなり厄介だと思う。ただ、生い立ちがわかると至極まっとうな考え方でもあり、便利さと表裏をなす現代の不便さ、生きづらさが際立って見えてくる。
生き方のテクニックなどではなく、生きる上で最も大事なものは何なのかを改めて、そしてユーモラスに伝えてくれる物語である。