さわや書店 おすすめ本
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no.5382023/2/23UP
本店・総務部Aおすすめ!
11人の考える日本人 片山杜秀/文春新書
『十二人の怒れる男』『12人の優しい日本人』っぽいタイトルだなと思って手に取った一冊。映画とは全く関係ないが、論理的な試行錯誤を繰り返し今の日本にもつながっているという事がよくわかる。こういうリアル感のある近・現代史を義務教育の時に教わりたかったなと思う。まあ、実際当時の自分だったらどんな題材であれまともに勉強しなかったとは思うが、少しは興味を惹かれていたかもしれない。
吉田松陰・福沢諭吉・岡倉天心・北一輝・美濃部達吉・和辻哲郎・河上肇・小林秀雄・柳田國男・西田幾多郎・丸山眞男の11人を非常に読みやすい文章で紹介している。共通して言えるのは本人の生い立ちとその時代性から来る、リアリズムに即した思想を追求している点だろう。理想論や感情論だけを言う人はいつの時代も信用できない。現実を直視し事実を熟慮した上でベターを採る思考が深みと厚みを増すのだと思う。そのあたり、前出の映画にも近い感覚を覚える。紹介している人物の本も、何かもう少し読んでみたいと思わせる内容だった。