さわや書店 おすすめ本

  • no.27
    2016/7/20UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    炭素文明論
    「元素の王者」が歴史を動かす 佐藤健太郎/新潮選書

    『こうした本を書いたのは、ひとつには化学に対する関心の低さを、少しでも改善したいという思いがあったためだ』
    そう著者は語る。
    本書は、世界の歴史に影響を与えたいくつかの「炭素化合物」を取り上げ、それらを軸に世界史を眺めてみるという、非常に面白い視点で描かれた化学と歴史の本だ。「炭素化合物」と書くと難しそうだろうが、簡単に書けば「デンプン」「砂糖」「ニコチン」「カフェイン」などのことだ。
    内容も、「昆布のお陰で薩摩藩は倒幕出来た」とか、「紅茶がアメリカ独立のきっかけになった」とか、「アメリカ最初の植民地は、ビール不足によって決定された」みたいな話が展開されていく。そう言われると難しい印象は薄れるのではないだろうか?
    歴史も化学も得意ではない僕が全ページの9割以上をドッグイヤーした一冊だ。