さわや書店 おすすめ本

  • no.24
    2016/7/20UP

    フェザン店・長江おすすめ!

    TOKYO
    0円ハウス0円生活 坂口恭平/河出文庫

    本書は、著者が早稲田大学の建築学科に通っていた頃に行った卒論のための調査がベースになっている作品だ。
    著者はホームレスの方々が住んでいるダンボールハウスを「0円ハウス」と名付けた。そしてそれらが、どれだけ機能的で創意工夫がなされているのかを知るようになっていくのだ。
    著者が0円ハウスに対して抱いた最も素晴らしい点は、「生活に合わせて家を作る」というものだ。僕らが家を建てる時、様々な選択肢があるとはいえ、基本的には既存の間取りやサイズなどから様々なものを選び取っていく。つまり、「家に生活スタイルを合わせる形」だ。しかしホームレスの方々は、まず生活スタイルが先にあり、それに必要な環境を実現させるために家を建てる。発想が真逆なのだ。
    本書は、ダンボールハウスを建築学的な観点から捉え直した意欲作なのだ。