さわや書店 おすすめ本

  • no.507
    2022/6/7UP

    本店・総務部Aおすすめ!

    気狂いピエロ ライオネル・ホワイト/新潮文庫

    『レザボア・ドッグス』『パルプ・フィクション』『ヒート』『ファーゴ』『ノーカントリ―』『カリートの道』『レオン』…上手くいかないストーリーなのになぜか異常に味わい深い。そんな不思議な魅力溢れるクライムサスペンスの元祖が著者なのではないだろうか。
    Obsession(妄執)が原題の本書。妻子ある冴えない中年男がちょっとしたことから犯罪に巻き込まれ、若い女との逃避行になる。深みにはまるほどに女の言う事を信じるほか道は無くなるが、本当は心のどこかでは真実に気づいていたのではないだろうか。「女を信じたい」という最後の「妄執」が、どんどん判断を狂わせてしまう。
    著者原作の映画は、ゴダールの『気狂いピエロ』とキューブリックの『現金に体を張れ』が有名だ。どちらの監督も作品も非常に有名なのに、実はまだ観ていない。映画を観てから、最近本店に設置した「Excellent movies & Original books」のコーナーに入れようと思う。
    本書の中で、映画『カサブランカ』の名曲「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」が出てくる。この映画も上手くいかないストーリーだが、それが異常にカッコいい。